自分で改名する理由で最もポピュラーなのが「永年使用」を理由にしたものです。
通称名を長年使用している方は、永年使用で通称名へ改名できるかもしれません。
永年使用は裁判所から改名の許可を得やすい面があり、既に永年使用で改名する準備をしている人もいるでしょう。
しかし、必ずしも永年使用で改名できるわけではなく注意点もあります。
改名が許可されるためには、どんな証拠を作ればいいのかわからないという方も多いでしょう。
ここでは、永年使用とはどんな改名の理由なのか、許可されるための証拠の作り方や改名の注意点などを解説します。
永年使用を理由に改名する注意点
永年使用とは、長い年月をかけて通称名を使用した場合に、改名が許可される理由の一つです。
申立書にある「通称を永年使用した」という理由に該当します。
「長い期間通称名を使用していて戸籍の名前では不便だ」となれば、「永年使用(通称を永年使用した)」という理由で改名の申立て可能です。
この永年使用は改名理由の中では改名が許可されやすいですが注意点もあります。
いくつかあるのですが、個人的にはやはり改名できるまでの期間に注意したいところ。
後述していますが、この期間は曖昧です。
そして最低でも数年はかかるため、あなたがすぐに改名したいなら不向きの理由です。
永年使用の改名理由が許可されやすい理由
永年使用を理由にした改名は多く、自分で改名する定番の理由となっています。
- 改名する理由や動機が幅広い
- 改名の条件や証拠を満たしやすい
改名の理由や動機が幅広い
通称名を永年使用したという理由で改名を申立てた場合、たとえ改名の動機が個人主観のような却下されてしまう理由でも、申立てが許可される可能性が十分あります。
永年使用での改名は、永年という長い期間で通称名を使用しているという事実が優先されるからです。
改名の条件や証拠を満たしやすい
これは永年使用が簡単に許可されやすい理由というわけではなく、許可される条件や必要な証拠がわかりやすいという意味で許可されやすいとしています。
「通称を永年使用した」というのは言葉通り、通称名を永年の期間使用することが大きな許可されるための条件です。
そして、通称名を永年使用することで、生活の中で名前による支障が出ていれば改名が許可されます。
改名に必要な証拠も「通称名の使用実績」が必要ということもわかっています。
どんな証拠を作ればいいのかという不安点はあるものの、他の改名の理由と比べて判断しやすいです。
永年使用で通称名へ改名が許可される期間やコツ
永年使用による改名が許可されるためにできることが何があるのでしょう。
改名が許可される目安の期間や許可されるためのコツをご紹介します。
1.通称名を使用する期間は長いほうがいい
永年使用での改名なので、通称名を長い期間使う必要があるのですが、通称名の使用期間は長ければ長いほどいいです。
通称名を使っている期間が長いと、それだけ通称名の通用度合いが根深くなり、改名が許可されるための十分な証拠(使用実績)も用意できます。
同じ永年使用を理由に改名でも、年齢により通称名の使用期間が変わり、大人よりも子供の方が短い期間で許可される傾向です。
- 一般平均で最低5年~10年
- 子供は1年~3年程度
これが永年使用を理由にした場合の改名が許可される目安期間です。
2.通称名を使用する範囲を広くする
永年使用での改名は、通称名を永年使用したという証拠が必須です。
その証拠が通称名の使用実績となるため、通称名を使って生活しているという実績がわかる資料を用意します。
3.徹底的に通称名を使用した証拠(実績)を作る
通称名の証拠作りで重要なのが「通称名を徹底的に使うこと」です。
通称名を永年の期間使用したことだけでなく「通称名の社会的な影響の度合い」ということも、裁判所が改名を許可するのかを判断する要素です。
わかりやすい例だと、芸能人や作家などは通称名が本名のように通用していますよね。
芸能人や作家が戸籍の名前を普段から芸名やペンネームとして使用している通称名に変えたところで、社会的に悪影響があまり出ないと判断できます。
このように通称名が相当根深く浸透していることが重要です。
その証明が不可欠なため、永年使用を理由に改名するなら、「他の理由よりもはるかに通称名の使用実績(証拠)が厳しくチェックされると言えます。
改名の証拠「通称名の使用実績」の作り方
永年使用を理由にした改名で重要な証拠「通称名の使用実績」はどのように作ればいいのでしょう。
一般的な通称名の使用実績(改名の証拠)となるのは、ネット通販の伝票やポイントカードです。
一番良いのは証拠の能力の高いものを作ることです。
公的書類なら誰でも使用できるネット通販の領収書よりもはるかに信憑性が高く、偽造や変造ができないので圧倒的な証拠価値があると言えます。
私は職場で通称名の使用を断られた経験がありますが、一般的な通称名の使用実績の中だと、給料明細や職場で使用している書類は公的な証拠となるので交渉してみましょう。
子供(学生)だと、卒業証書を証拠にする場合は注意点もありますが、学校で使用している名簿や書類なども証拠となりますね。
永年使用での改名は長期間の通称名の使用実績を証拠とするので、永年分の証拠を全て提出するとなると分厚い辞書のように膨大な量になります。
通称名の使用実績は普段から通称名を使用していることがわかればいいので、年度別に用意するなどわかりやすく資料を揃えておくといいでしょう。
永年使用で通称名に改名する3つの注意点
- 永年使用の改名はかなり長期化する
- 本名と通称名の使い分けが面倒
- 改名する理由も注意
永年使用の改名はかなり長期化する
永年使用での改名で厄介なのが、永年という期間に明確な定義はなく、各家庭裁判所の判断に委ねられていることです。
一般的な目安の期間は最低5年以上と言われたりしますが、10年以上の通称名の使用期間があっても許可されないこともあります。
通称名に改名しないと不便が出たり通称名の使用上のリスクもあるので、改名するなら早い方がいいですが永年使用での改名はどうしても年単位で時間がかかります。
永年使用は他の改名理由と比べて最も時間がかかるため、もしもあなたが一刻も早く改名したいなら永年使用は止めましょう。
本名と通称名の使い分けが面倒
これから永年使用で改名するために通称名の使用を始める方もいると思いますが、正直、戸籍の名前と通称名の使い分けはかなり面倒です。
通称名を使用できる範囲が限られてしまうだけでなく、通称名を社会的に使用することでリスク(トラブル)もあるので注意しましょう。
下記の「通称名の使用実績を作る注意点」にも書いています。
「何年かかってもいいから改名したい!」という強い意志が必要です。
個人主観の強い改名理由に注意
永年使用で改名する場合は理由が重要視されない傾向ですが、改名に至る動機を全く考慮しないということではありません。
いくら改名が許可されやすいとしても、単に通称名を永年使用しただけで許可されるようなものではないので、このあたりにも注意が必要です。
通称名への改名と永年使用の証拠のまとめ
戸籍の名前を通称名へ改名するためには、永年使用という理由で改名を申立てることになります。
かなり長い期間が必要ですが、永年使用は誰でも改名できる許可の条件となります。
ただ、永年使用は他の改名する理由より認められやすいだけで、その基準を満たすためのハードルの高さや、許可されるかどうかの”運的な要素”は他の理由と同じです。
永年使用の根拠となる証拠「通称名の使用実績」を作るのが大変ですが、公的な証拠以外のどんな証拠も無意味になるわけでないので、可能な範囲で通称名を徹底的に使用して多くの証拠を作りましょう。