改名は家庭裁判所が認めない理由があるため、当然ながら認められない理由で申立てると却下されたり取り下げになってしまいます。
家庭裁判所への改名の申請が失敗して、認められないという結果になったらどうすればいいのでしょう。
申請が却下されたり取り下げると、次の申立てを諦めてしまう方もいると思いますが、改名は却下や取り下げになったとしても過度に落ち込む必要はありません。
2回目やそれ以降の改名の申請が許可されるために粛々と準備をすればいいだけです。
一番危険なのは、何も気にせず却下された後に何度も改名を申請すること。
改名が2回目だったり、初めての改名で申立てが却下や取り下げになった場合は、次の申請は慎重になる必要があります。
ここでは却下と取り下げの違いやその後の申し立てへの影響、具体的な対策について解説しています。
却下された判例をもとに認められない理由もまとめています。
改名することが2回目という方も参考にしてくださいね。
家庭裁判所で改名が認められない理由と条件
実際に改名が却下や取り下げになった後、2回目やそれ以降の申立てはどのようにすればいいのでしょう。
まず、第一に家庭裁判所に「認められない理由」での申立てを控えることです。
改名は家庭裁判所が認めない理由があるため、当然ながら認められない理由で申立てると却下されたり取り下げになってしまいます。
家庭裁判所の条件を満たせば許可されますが、ほいほい改名の許可が下りるものではありません。
家庭裁判所に改名が認められないことは決して珍しくないのです。
改名が認められない理由や条件について、家庭裁判所の概要欄にはこのように書かれています。
正当な事由によって,戸籍の名を変更するには,家庭裁判所の許可が必要です。正当な事由とは,名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい,単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りないとされています。
家庭裁判所「名の変更」の概要欄
改名は「正当な事由」が許可の条件なので、改名の理由が個人の主観(趣味・感情・信仰)で家庭裁判所に認められないということです。
具体的に不許可となる条件に当てはまる改名の理由は何があるのか。
代表的な改名の申請が却下される理由は3つあります。
- 犯罪歴や借金がある
(借金逃れや犯罪歴の隠蔽と受け取られる理由) - 個人の主観や信仰を理由にした改名
(宗教・姓名判断など名前の支障よりも個人主観が強い理由) - 改名する名前が難読
(難読な漢字や人名に使えない漢字を使用した名前)
こような認められないとされる条件に該当する場合、改名を申請することは避けたほうがいいでしょう。
改めて改名の申請をする場合は、あなたの改名の理由が家庭裁判所が認められない条件に該当していないか、ぜひチェックしてみてください。
ここで紹介している認められない理由は、ほぼ100%の確率で家庭裁判所が却下、もしくは取り下げになります。
改名の申請が却下や取り下げになった時の対処法
初回の改名の申請や2回目の申請が失敗して却下になってしまった・・
そんな時はそうするのか。
冒頭でお伝えしたように、改名の申請を取り下げたり却下になった以上、2回目やそれ以降の申請を有利に進めるような対策はありません。
少しでも許可されるために却下や取り下げた後でできることは5つです。
- 改名の理由を変えて申請する
- 信憑性の高い証拠を作る
- 申立書の書き方を見直す
- 即時抗告
- 弁護士などの専門家に依頼
他にもありますが、却下された後の改名の再申請は、申請内容を見直すことが重要です。
どの対処法がいいのかは申立てる理由と却下や取り下げになった理由にもよりますが、次の改名の申立てが許可されるためにあなたができることを試してください。
すでに却下や取り下げになった方だけでなく、これから改名を申立てる予定の方も、万が一、改名の申請が家庭裁判所に認めらないとなった場合に備えてこの情報は役立つはずですよ。
事前知識として下記も参考にしてくださいね。
改名の理由を変えて申請する
改名が却下になったり取り下げた場合、基本的に却下された改名の理由と同じ理由でもう一度申請しても認められないです。
改名を申請する理由に自信がない人もいると思いますが、そんな時は過去に改名が却下されていても「永年使用」なら、初回の申立てがどんな理由でもあまり違和感なく申立てができます。
許可される証拠を用意する
改名の取り下げや却下される理由で多いのは認められない理由での申立てですが、証拠の不足もあります。
いくら改名の理由がまともでも、理由に沿った証拠があるのとないのとでは、証拠があった方が認められやすいのは言うまでもありません。
実際に取り下げや却下された方で「証拠が少ないと言われた」「使用期間が短かくて却下された」というご相談も多いです。
前回の申請であなたが証拠を家庭裁判所に提出している場合、現時点での家庭裁判所への提出書類で取り下げや却下されているので、次の申立ては過去よりも有力な証拠が必要です。
次の申立てまでの期間に関係なく、今よりも証拠能力が高いものを増やして根本的な証拠作りの強化が必須でしょう。
却下された改名する理由の書き方を修正
認められない理由を書くのは控えて、却下された申立書の理由の書き方を見直しましょう。
改名が許可される条件に該当しても、家庭裁判所に上手く改名する理由が伝わらなければ却下や取り下げの対象となります。
申立書の理由の書き方や伝え方ひとつで結果は大きく変わります。
申立書の改名の理由の欄(申立ての実情)には、あなたが改名に至った経緯や戸籍名による日常生活での支障を書きますが、審議官や裁判官に伝わるように説得力のある書き方が必要です。
もし、あなたが思うがままに改名が必要な理由を淡々と書いてしまっていたなら、とても勿体ないので見直しましょう。
却下の直後に即時抗告
家庭裁判所の審判(却下)に不服がある場合は、高等家庭裁判所に審議してもらうことができます。
この不服申立てを即時抗告といいます。
却下に納得できない場合は、即時抗告をして高等家庭裁判所が許可すれば改名が可能です。
不服申立てすると、却下とした家庭裁判所がまず審査し、間違いがあれば結果を変えることになります。
間違いがなければ、高等家庭裁判所に手続きが移されて再審査されるという流れです。
家庭裁判所から却下の通知を受けた日から2週間以内であれば即時抗告することができます。
ただ、後述している判例にもあるように、一度家庭裁判所で却下となった以上、即時抗告するなら新たな証拠資料などを補充するべきです。
どのように申立てたのかにもよりますが、それが十分でないと即時抗告をしても同じ「不許可」となる可能性が高いです。
却下されてから2週間しかないですが、あなたの改名理由に正当な理由があって、十分な資料が用意できるなら即時抗告を検討しましょう。
「却下後の不服申立てに必要な書類や費用」
- 抗告状
- 即時抗告の理由を証する証拠書類
- 収入印紙1200円
- 連絡用郵便切手数百円から1500円程度
(申立てる家庭裁判所により異なる)
弁護士などの専門家に依頼
専門家はかなり稀少ですが、改名を扱っている弁護士などの士業の方に相談や依頼するという方法もあります。
弁護士に完全に代行してもらうとなるとかなり高額になりますが、アドバイスをもとにもう一度自分で申請してみるといいかもしれません。
却下や取り上げの後に自分で申立てるのは難しそうだと感じる方は、弁護士などへの相談や依頼も検討してみましょう。
改名が認められない理由と却下や取り下げに関する記事のまとめ
最初の申立てが却下されたり取り下げになった場合の2回目の申立ては、どうしても難しくなります。
過去に改名していること、却下されていることや取り下げていること、これらの改名の手続きの記録は家庭裁判所に残っています。
改名の申立てが却下や取り下げた後の改名は不利になる傾向ですが、対処法はいくつかあるので可能な範囲で実践してみてください。
却下されたり取り下げになったからといって、改名ができないというわけではありませんから。