戸籍改名

性同一性障害(GID)の改名は診断書に注意!未治療でも裁判所から許可されない?

性同一性障害の改名と診断書

性同一性障害(GID/性別不合/性別違和)の認知度が上がり、家庭裁判所から許可されやすい理由の1つです。

とはいえ、確実に許可される理由はないので、性同一性障害が理由でも改名の申立てが却下されることもあります。

性同一性障害を理由にした改名は診断書の有無が一つのポイントとなりますが、中には診断書がなかったり通院していないという方もいると思います。

すでにホルモン治療や手術をしていて、早く改名したいという方もいるでしょう。

ここでは性同一性障害を理由に改名したい方に向けて、家庭裁判所から改名の申立てが許可されるコツをまとめました。

診断書がない場合や治療をしていない(治療の予定がない)方も参考になるはずです。

性同一性障害の診断書が取得できる病院についてもまとめていますので、カウンセリングを受けたり治療をしたい方は問い合わせてみてくださいね。

改名は未治療でも家庭裁判所は許可する

性同一性障害を理由に改名が許可されるための条件は何があるのでしょう。

改名が許可される条件とは?

結論として治療の有無は関係なく、改名が許可される条件は「正当な事由」のみです。

正当な事由とは「戸籍の名前によって生活する上で甚だしい支障が出ていること」です。

これは性同一性障害以外の理由も共通した改名が許可される条件です。

性同一性障害でホルモン治療や手術をされる方もいますが、性別に違和感を感じていて治療は望まないけど改名はしたいという方もいますよね。

名前の改名は「正当な事由」以外に規定がないので、性同一性障害の当事者は治療をしていないと改名できないということはありません。

そもそも性同一性障害の診断は治療が必須ではないですし、治療を望まない当事者もいますよね。

治療をしていない当事者でも、改名が許可される条件「正当な事由」を満たしていれば、家庭裁判所から改名の申立てが許可されます。

性同一性障害(GID)は許可されやすい?

一般的な改名の理由(難読や同姓同名)と比べると、性同一性障害の改名は許可されやすい傾向です。

それだけ理解も深まり認知されている現状があるからです。

また、一般的に改名を申立てると後日書面照会や面談が実施されるのですが、性同一性障害を理由にした改名はそれらの手続きがなく、すぐに結果が通知されることがあります。

改名の手続きの流れ

  1. 家庭裁判所へ申立て
  2. 書面照会・面談
  3. 結果の通知
    (審判まで最短で3週間程度)

書面紹介は家庭裁判所と郵送による書面でのやり取りを行い、面談は家庭裁判所に出向いて聞き取りを行います。

書面照会も面談も聞かれる内容はあまり大差はなく、「改名する理由・名前による不都合・今後の生活や治療について・家族の理解度・改名する名前の由来」について答えます。

性同一性障害で改名が家庭裁判所から許可される方法

性同一性障害を理由に改名が許可されるためには何が必要なのでしょう。

前述したように治療の有無で許可されないということはないですが、家庭裁判所から許可されるポイントを解説します。

改名理由の書き方

申立書の改名理由(申立ての実情)には、一般的に「戸籍の名前のままではどのような不都合があるのか」ということを書きます。

そこを踏まえて、性同一性障害を理由に改名を申立てる場合は、以下の内容を書くといいでしょう。

改名する理由の書き方

  • 性別と名前の不一致による支障の内容
  • 性同一性障害を理由に通院していること
  • 性同一性障害に関するホルモン治療や手術の有無
  • 名前を変更することによる社会的混乱がないこと

性同一性障害の改名は、どのような支障があるのか、通院や治療しているならその内容、周囲の理解などを書きます。

他にも進学や就職を控えている場合は、それらの影響も書きましょう。

改名の申立書の書き方は箇条書きでもいいですし、伝わりやすい文章で改名が必要な理由やその経緯まとめましょう。

また、性同一性障害の改名で申立書にある申立ての理由の欄は「その他」や、通称名の使用期間が5年以上あるなら改名の理由は「通称を永年にわたり使用した」でも問題ありません。

性同一性障害を理由に改名する場合は、その他の欄に「性同一性障害・GID」と記載する方が多いようですね。

性同一性障害の診断書を用意する

改名が許可されるためには、その理由を裏付ける証拠が必要です。

性同一性障害を理由にした改名だと、診断書が効果的な証拠となります。

診断書がないと家庭裁判所は改名を許可しないということはないですが、あったほうがいいです。

他にも必須ではないですが、改名する名前を通称名として使用し、その証拠をの集めておくこともポイントです。

性同一性障害の改名が許可されるためには診断書に注意

性同一性障害の改名の証拠になる診断書ですが、書き方や発行の種類によって、家庭裁判所から許可されないこともあります。

改名の申立てで使う診断書は少し注意が必要です。

診断書の書き方

性同一性障害の改名で証拠として家庭裁判所へ提出する診断書は、単なる性同一性障害の診断書では改名の証拠として不十分と判断されることがあります。

診断書は症状・治療・診断内容などを記載して医師が発行するものです。

稀かもしれませんが、普通の診断書を提出すると家庭裁判所から微妙な反応をされることもあるようです。

改名するための診断書を発行してくれる病院もあり、記載内容が気になる方は主治医に相談してみましょう。

一般的には通常の診断書を家庭裁判所へ提出しても問題ないはずです。

診断書はガイドラインに準拠したもの

性同一性障害の診断書は日本精神神経学会のガイドラインに準拠したものと、そうでない診断書があります。

ガイドラインに準拠するかどうかは当事者が自由に選択できるので、ガイドラインを無視しても診断書を発行したり、治療を進めることは可能です。

ですが、家庭裁判所がガイドラインを重視することがあるため、性同一性障害の改名がスムーズに許可されるためには、ガイドラインにそった診断書の方が好ましいと言えます。

ガイドラインに準拠せず一日で取得できるような診断書だと、改名の申立てが家庭裁判所から許可されないケースもあります。

即日発行の診断書でも改名が許可されることもありますが、手堅くいくならガイドラインに準拠した診断書を発行してもらうのがいいでしょう。

病院で性同一性障害の診断書を取得する流れ

ガイドラインに準拠した診断書取得の流れ

  1. カウンセリングに通う/ファースト
  2. (自分史の確認(性別違和の振り返り)・心理テスト・身体検査などがある)

  3. カウンセリングに通う/セカンド

ガイドラインに準拠した場合、精神科医2名が性同一性障害であると判断することで診断書が発行されます。

2名の医師の判断が必要なので2つの病院にカウンセリングに通いますが、2名の医師が在籍している大学病院だとその必要はありません。

性同一性障害の診断書の発行までの期間は、カウンセリングの進行具合によるので個人差がありますが、数か月から1年程度(数回~数十回通う)の通院が目安です。

ガイドラインに準拠しない診断書取得の流れ

  1. 病院の予約日に通院して即日発行

ガイドラインに準拠しない場合は、最短で即日発行が可能です。

早く改名したい方や、ホルモン治療をするために即日発行の診断書を活用される方がいます。

即日発行の診断書は手間が省けて楽ですが、費用が高額になる傾向です。

診断書の目安費用5000円~3万円程度

診断書は発行元の病院で治療を継続する場合のみ発行できる、といった条件を設けている病院もあります。

ちなみにホルモン治療や手術を行う場合、病院やクリニックによってガイドラインを無視しした即日発行の診断書が使えない場合があるのでご注意ください。

性同一性障害のカウンセリングや診断書が発行できる病院一覧

性同一性障害の専門知識を持つ医師はまだまだ少なく、診断書を発行できる病院は限られています。

一昔前は大学病院くらいにしかなく、大学病院だと初診予約だけで1年待ちもザラだったようですね。

ガイドラインにそうにしても、即日発行の診断書をもらうにしても、遠方まで通院する必要がある方もいるでしょう。

性同一性障害の病院探しは大変ですが、NPOなどの自助グループや支援団体などに問い合わせてみるのも一つの方法です。

病院のホームページに性同一性障害の記載がない場合もあるので、直接問い合わせましょう。

かかりつけ医に相談して性同一性障害の診断書を書いてもらう例もあるようです。

また、病院の何科に通えばいいのか、という疑問もあると思いますが、性同一性障害のカウンセリングは心療内科や精神科です。

ホルモン注射や手術となると、泌尿器科・婦人科・美容外科などがあります。

病院によって性同一性障害の専門外来を設けており、ジェンダークリニック・ジェンダー外来・GID外来などの名称で受診できる病院があります。

性同一性障害の改名申請が裁判所に却下されたら?

性同一性障害の理解が深まりつつあるので、これを理由にした改名は特例的に許可される傾向ですが、それでも却下されることもあります。

却下された場合の効果的な対処法は3つあります。

  • 即時抗告
  • 治療を始めてから再申立て
  • 通称名の使用実績を用意する

即時抗告

即時抗告とは不服申し立てのことで、却下の審判を受けてから2週間以内であれば可能です。

家庭裁判所にて即時抗告を行い、その後、審判に変更がなければ高等裁判所で審査されます。

必ず即時抗告が認められるわけではないですし、即時抗告できたからといって許可されるわけでもありません。

治療を開始してから再申立て

治療の予定がある方は性同一性障害の治療を始めることで、外見と名前の不一致などによる支障が立証しやすくなります。

これは性別変更と同時に改名を申立てる場合も同じです。

性同一性障害という理由だけでなく、性別変更も理由に改名を申立てましょう。

改名の許可条件は「正当な事由」であって、生活上、甚だしい支障があると判断された場合に許可されます。

何らかの治療を開始していたり、手術を終えていて性別変更を行う場合は、「正当な事由」として許可されやすいです。

通称名の使用実績を作る

性同一性障害を理由に改名する際に診断書に加えて、通称名の使用実績(証拠)がないと却下されることがあります。

改名による社会的影響の度合いも許可の基準になるので、性同一性障害を理由にした改名でも通称名を使用して証拠を作りましょう。

いろんな使用実績がいいので、手紙、領収書、ネット通販の伝票など幅広く改名の証拠を作ります。

通称名の使用期間は、性同一性障害の場合だと1年程度が目安ですが、家庭裁判所によって通称名の使用期間が数カ月でも許可されることがあります。

改名したいけど診断書がない・治療や通院もしていない場合は?

性同一性障害(性別不合・性別違和)を理由に改名するなら診断書は必要です。

診断書がないと性同一性障害であることの証明が難しくなります。

性同一性障害の診断書がなかったり、ホルモン治療や手術を望まない方、治療の段階ではない方は、通院歴や通称名で生活して既成事実を積み上げて改名の必要性をアピールしましょう。

病院に通院していないという場合は、長期的に通称名を使用することで改名できる可能性があります。

この場合は「永年使用」での改名の申立てを検討しましょう。

性同一性障害の改名に使う診断書と許可される方法のまとめ

性同一性障害(性別違和)を理由にした改名は許可される傾向です。

ただ、各家庭裁判所の裁量が影響するので確実に許可されるということはありません。

家庭裁判所から許可されるために、性同一性障害(性別違和)の診断書や通称名の使用実績といった準備をしっかり行いましょう。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA