「戸籍の漢字が誤字で登録されている」
「いつも使っている名前の漢字とは違う漢字に戸籍の名前が変更されている」
「戸籍の漢字を誤字から正字(旧字体・新字体)に訂正したい」
このような戸籍の名前の誤字は、パスポートの作成や相続の手続きで、誤字に気付くことが多いようですね。
戸籍に登録されている漢字の誤字は単に役所の間違いで誤字になっていることもあれば、役所のミス以外の理由で名前が変更されていることもあります。
戸籍に使われている漢字には正字・俗字・誤字があり、戸籍に登録された名前や苗字の漢字の種類によって戸籍の漢字が変更されてしまうのです。
改名の手続きをした覚えがないのに、戸籍の名前が俗字や正字に改名されているという方もいるでしょう。
戸籍の漢字に誤字があったり、名前を変更したい、名前を俗字から正字に訂正したいなどの場合はどうすればいいのでしょう。
戸籍の名前や苗字の変更となると、一般的には改名の手続きが必要なので家庭裁判所へ申立てることになります。
しかし、戸籍の誤字の訂正は、必ずしも家庭裁判所で改名の手続きが必要というわけではありません。
家庭裁判所では改名も誤字の訂正も手続きが可能ですが、住居地を管轄する役所だけで戸籍の漢字を訂正できることもあります。
役所での手続きになるのか、家庭裁判所での手続きになるのかは人によって異なります。
家庭裁判所では訂正や変更の改名手続きを行うとなると、役所での手続きとは違って家庭裁判所の許可が必要なので手続きい時間がかかってしまいやや面倒です。
ここでは
「なぜ戸籍の漢字が誤字になるのか」
「正字や俗字に改名されてしまっているのか」
ということから、戸籍の漢字の訂正や改名の手続き方法までをご紹介します。
戸籍の誤字の訂正だけでなく、戸籍の名前を普段使用している漢字(旧字体や新字体)に改名したい、名前や苗字を正字や俗字に改名したいという方は参考にしてくださいね。
強制的に訂正&改名!?戸籍の漢字が誤字になる理由
戸籍の名前の漢字が旧字体や新字体などの正字に改名されていたり誤字になっているなど、漢字の訂正や改名が必要になる原因は何があるのでしょう。
戸籍の漢字が誤字になったり、正字などに変更されて改名したような状況になる理由は、単なる役所による漢字登録の間違いだけではありません。
届出人が誤字で登録した
戸籍の名前の漢字が誤字になる理由として、出生届を出した際に届出人が名前の漢字を間違えて誤字で記入してしまった、といった場合があります。
届出人は名前の欄に誤字の漢字を記入したことに気付いていないことが多く、役所も手続きの際に細かな名前の確認はしません。
戸籍を見る機会もそう多くないので、名付けられた本人が大人になって初めて戸籍の漢字の誤字に気付くこともあります。
名前ほど多くはないでしょうけど、苗字(氏)の漢字の記載間違いもあり、誤字の訂正を希望される方もいます。
また後述していますが、届出人のミスではなく結婚などで戸籍の変動があった際に、届出に記入した名前へ変更されることもあります。
たとえば、もともとは戸籍に登録されている漢字が俗字で、普段は正字を使用しており届出の際に正字を記入して登録した、というパターンです。
役所のミスや手続き上の訂正による改名
役所の担当者による戸籍の漢字の登録間違いによって、戸籍の訂正が必要になるケースです。
戸籍に登録された名前の漢字が誤字になる原因は単なる役所のミスもありますが、戸籍を紙で管理していたことも影響します。
一昔前、戸籍を紙で管理された時代は全て手書きです。
そのため、書き手の癖もあり名前の漢字を間違えて書いてしまうということが起こり、これが戸籍の漢字が誤字で登録されてしまう原因の一つです。
法務省の通達による正字への変更
上記のような役所の漢字間違い以外に、法務省からの通達により、手続き上の都合で戸籍の漢字が訂正されて改名した状態になったり、誤字で登録されているケースもあります。
これは平成になって戸籍や住民票を紙ではなく電子データ管理になった事情から、通達により戸籍に使う文字(正字・俗字・誤字)の扱いに変更があったためです。
戸籍に使う漢字(正字・俗字・誤字)の扱いは、一言でいうと
「戸籍の誤字は正字に訂正する・戸籍の俗字は正字に訂正せずそのまま登録」
という内容です。
戸籍の名前や苗字に俗字や誤字の漢字が使われていると、年代によってそれらの漢字が正字に訂正されてしまい、戸籍の名前が改名したような形になってしまうのです。
役所の処理の都合で正字に変わっていても、これは戸籍の表示上なので書面(戸籍や住民票)では旧字体で記載されます。
本当に戸籍の名前を改名したわけではなく、あくまでも訂正という形で名前が変更されているということです。
- 誤字の意味
- 俗字の意味
- 正字の意味
俗字と正字に含まれない字(辞書に載っていない字)
当初の日本の戸籍は手書きで名前を書いていたため、役所の担当者の書き間違いや書く字の癖によって生まれた漢字
もともと誤字だったが広く認知され一般化された文字
よくある俗字「髙・ヱ・﨑(嵜)」→正字「高・エ・吉・崎」
常用漢字表などに記載されている正しいとされる文字
旧字体や新字体の漢字も含まれる
旧字体「澤・齋・齊・廣、邊、邉」
新字体「沢・斎・斉・広・辺」
旧字や俗字に明確な定義はなく、たとえばここでは旧字体として「澤」を挙げましたが、異字体として解説しているサイトもあります。
常用漢字からすると、旧字も俗字も現代で一般的に使われてる感じとは異なるため異字体とも言えます。
異字体の一種と考えるとわかりやすいかもしれませんんね。
- 通達による戸籍の文字(漢字)の扱い
- 結婚や転籍などの戸籍の変動で戸籍の漢字が誤字や俗字の漢字は正字に変更(訂正)される扱い
・平成3年~平成6年
・平成6年~現在
結婚や転籍などの戸籍の変動で戸籍の漢字が俗字の場合はそのまま使用し、誤字は正字に変更(訂正)される扱い
戸籍の漢字を変更した覚えがないのに
「漢字が新字体の正字に改名されている」
「戸籍の漢字が誤字になっている」
という方は、結婚や転籍など戸籍の変動により役所に訂正されている可能性があります。
通常は戸籍に登録されている漢字が正字に訂正される場合は事前に連絡がありますが、役所がきちんと手続きを踏まなかったことで告知されなかった場合もあるようです。
例外的に結婚などの戸籍の変動によって戸籍の名前が誤字や俗字であっても、「正字」で届出があった場合は戸籍の漢字を正字へ変更したという告知はありません。
本人が戸籍の名前が正字であることを認識し、自ら正字で届出ているので戸籍の名前を訂正したという告知の義務がないのです。
戸籍に登録されている名前の漢字の中には、誤字・俗字・正字のどれなのか不明な漢字もあり、誤字なのか俗字なのか漢字の判断がつかない場合は、正字に訂正されずそのまま戸籍に登録されています。
役所?家庭裁判所?戸籍の漢字の誤字を訂正・改名するならどこ?
戸籍の漢字が誤字になる理由をご紹介しましたが、では戸籍の名前を訂正・改名したいと思ったらどうすればいいのでしょう。
戸籍の誤字に気付いたら、まずは役所に名前の漢字の訂正について相談します。
家庭裁判所で名前の訂正や改名の手続きを行うこともありますが、まずは誤字になった原因を調べる必要があります。
役所にて
「なぜ戸籍の名前が誤字になっているのか」
「どの手続きの段階で名前が誤字になったのか」
を調べて、どのような漢字の訂正や改名の手続きが必要になるのかを聞きましょう。
「戸籍の名前が誤字になった経緯」によって、役所で訂正の手続きなのか、家庭裁判所で訂正や改名の手続きになるのか分かれます。
名前の漢字を役所で訂正手続きができるのが一番楽ですが、家庭裁判所での訂正や改名の手続きが必要になると一定の期間がかかります。
また、戸籍の誤字の訂正だけでなく、
「名前の漢字を俗字から正字に改名したい」
「苗字の漢字を正字から俗字に改名したい」
といった場合も訂正や改名の手続きは可能です。
戸籍の漢字の訂正は役所に責任がある場合は役所だけで済みますが、届出人のミスでが誤字になっていたり、名前を正字から俗字に変更したいといった場合は、家庭裁判所での訂正や変更の改名手続きが必要です。
- 戸籍の漢字の訂正が役所になるパターン
- 戸籍の漢字の訂正が家庭裁判所になるパターン
・明らかに役所の間違いで誤字になっているので訂正したい
・誤字や俗字の名前を正字の漢字に変更して改名したい
・届出人が戸籍の名前を書き間違えた
・名前の漢字を正字から俗字に変更したい
役所で戸籍の誤字や俗字を訂正・改名する手続き
「役所のミスで戸籍の名前が誤字になっていた」
「役所から告知なしで勝手に正字(旧字体・新字体)に変更されていた」
「戸籍の漢字を誤字や俗字から正字に改名したい」
役所のミスで戸籍の漢字が誤字になったことが明確である、戸籍の苗字や名前の漢字を俗字から正字に改名するといった場合は、市区町村の役所で申出の手続きを行うだけで訂正や変更が可能です。
(厳密には俗字から正字への変更は改名ではなく訂正の申出となります。
ここではわかりやすく変更することを改名と表記しています)
戸籍の変動(結婚・引っ越し・分籍)の予定があるなら、その手続きで書類に正字を記入すれば正字へ変更することもできます。
無断で正字から俗字に変更された漢字の訂正
50代の男性の戸籍名が正式な手続きをせずに、無断で同市の職員に変更されていたことがわかった。市は問題があったことを認め、チェック体制の徹底を図るとしている。男性は9月、住民票などを取得するために同市役所を訪れ、名字の一文字が俗字になっていることに気付いた。窓口で問い合わせると、正字から俗字に訂正されていたことがわかった。その場で元の字に戻す手続きを取った。
>>朝日新聞DIGITAL
俗字から正字へ変更する漢字の例は、「邊」→「辺」・「齊」→「斉」・「惠」→「恵」があります。
俗字の「齋」は「斎」へ訂正ができますが、漢字の成り立ちが異なる「斉」への訂正はできません。
戸籍の漢字の訂正の手続きは申出書を提出するだけで、手続き場所は住居地の役所か本籍地の役所です。
住居地の役所でも漢字の訂正の手続きはできますが、あくまでも訂正の申出を受理するかどうか決定するのは本籍地の役所です。
名前や苗字の漢字の訂正や改名が可能な漢字であるかどうかは、役所の窓口で確認しておきましょう。
戸籍の漢字の訂正手続きの必要書類
- 申出書
- 印鑑
- 戸籍謄本
- 申出人
(役所にある)
(シャチハタ以外)
(本籍地で手続きする場合は不要)
・苗字の漢字を訂正・変更
申出人は戸籍の筆頭者(配偶者の署名が必要)
配偶者がいない場合はは筆頭者のみ・筆頭者死亡の場合は生存配偶者・筆頭者や配偶が死亡している場合戸籍に残っている方全員
・名前の漢字を訂正・変更
申出人は本人
15歳未満の場合は親権者
戸籍登録された名前の誤字や、俗字から正字への変更による改名は、上記の必要書類を本籍地か住居地を管轄する役所に提出するだけです。
役所のミスで正字に変更されていたなど、状況によって戸籍の名前を正字から俗字へ変更できる場合もあります。
ちなみに、パスポートの漢字変更は申請時に「当用漢字に変更した」と伝えると、戸籍謄本(戸籍抄本)の提出が不要になるんだとか。
漢字の誤字は訂正?改名?家庭裁判所の手続きはどっち?
「届出人のミスで戸籍の漢字が誤字になっていたのを訂正したい」
「戸籍の名前を正字から俗字に変更したい」
という場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
基本的に家庭裁判所で漢字の訂正の手続きを行いますが、訂正ではなく変更の改名手続きを行ったほうがいいケースもあります。
家庭裁判所での名前の変更の手続きは、名前なら改名(名の変更手続き)、苗字なら改姓(氏の変更手続き)を行います。
家庭裁判所で改名や改姓の手続きが必要なパターン
- 戸籍の漢字を正字から俗字へ訂正したい
- 漢字が誤字になった経緯が不明確
戸籍の名前や苗字を正字から俗字へ変更したいケースで、もともとの戸籍の名前の漢字が正字でこれまで俗字を使っていない。
このような場合、どうしても名前や苗字を俗字や正字に変更したい方は、改名や改姓(改氏)の手続きが必要です。
また、「もともとは正字を使用し役所で俗字に変更の手続きをした後に正字に変更したい(戻したい)」という場合も、家庭裁判所で訂正の手続きはできず名前を変更する改名の手続きが必要です。
ただし、誤字を理由とした訂正や変更とは違い、上記のケースだと家庭裁判所から改名や改姓が許可されるのはかなり難しくなります。
さらに、戸籍の名前が誤字になった経緯が不明な場合も、家庭裁判所での手続きが訂正ではなく改名の手続きになるケースもあります。
漢字の訂正も変更もその事情を裏付ける証拠が必要ですが、戸籍の名前や苗字が誤字になった経緯が曖昧な場合は、十分な証拠を用意することができません。
どの手続きの段階で戸籍の名前が誤字になったのか経緯が不明だと、役所が名前の登録を間違えた証拠も、届出人のミスで漢字が誤字になった証拠もどちらも用意することが不可能です。
そのような場合は、家庭裁判所で戸籍の漢字を訂正するのではなく、変更の手続き(改名)の方がスムーズになることがあるようです。
家庭裁判所で行う訂正の手続きや改名の手続きの一番の違いは、改名した記録が戸籍に残るかどうかの違いです。
訂正の場合は改名ではないので、戸籍に名前を変更した記録が残りません。
戸籍に改名した記録が残ったところで何も不利になることはないですが、戸籍の記載は工夫できます。
戸籍の漢字を変更する改名の手続きなのか訂正する手続きなのか、どちらの手続きが最良なのかは「裁判所の管轄区域」にて管轄の家庭裁判所を調べて直接問い合わせるのが確実です。
電話か手続きに必要な書類を家庭裁判所へ受け取りに行く際に、家事事件係の窓口で問い合わせてみましょう。
家庭裁判所で漢字を改名する手続き
名前も苗字も戸籍の漢字変更は、改名なら「正当な事由」改姓なら「やむを得ない事由」があると家庭裁判所から判断された場合に許可されます。
この2つが家庭裁判所が許可する条件なので、どんな理由でも改名や改姓が許可されるわけではないですが、「戸籍の名前の漢字が誤字になった経緯の説明」や「その証拠を用意して正当性を証明すること」で許可されます。
戸籍の改名は、本人もしくは15歳未満の場合は親族などの法定代理人が手続きを行います。
改名手続きの必要書類
- 名の変更許可申立書(家庭裁判所の窓口かネットからダウンロードする)
- 戸籍謄本(全部事項証明書)
- 名の変更が必要な理由を証明する資料
- 収入印紙800円
- 連絡用の郵便切手(84円×5が目安)
(年賀状や契約書など正しい名前の漢字が記載された書類や資料のコピー)
改姓手続きの必要書類
- 氏の変更許可申立書(家庭裁判所の窓口かネットからダウンロードする)
- 苗字の変更理由が記載された資料
- 本人の戸籍謄本
- 同一戸籍内にある15歳以上の人からの同意書
- 収入印紙800円
- 連絡用郵便切手(84円×5が目安)
※連絡用郵便切手の費用は各家庭裁判所で異なりますが、名前の改名も苗字の改姓も費用は高くても1500円~3000円くらいです。
改名と改姓の手続きの流れ
- 申立ての手続き
- 書面照会・面談
- 結果(審判)
- 役所で戸籍の変更
(家庭裁判所へ必要書類を提出)
郵送で書面上のやり取り・家庭裁判所での聞き取り
家庭裁判所で戸籍の漢字を訂正する手続き
家庭裁判所での漢字の訂正の手続きは、改名の手続き方法も流れも大して変わりません。
手続きに必要な書類が少し違うくらいです。
漢字の訂正の手続きができるのは、当該戸籍の届出人、当該戸籍に記載された本人、身分上または財産上の利害関係を有する者です。
戸籍の訂正に必要な書類
- 戸籍訂正許可の申立書
- 訂正すべき戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本すべて
- 申立人が訂正すべき戸籍に記載されていない場合は申立人の利害関係を証明する資料
(申立人の戸籍謄本など)
上記は標準的な戸籍の訂正や変更の手続きに必要な書類です。
これら以外に家庭裁判所から追加書類の提出をお願いされることもあります。
戸籍の漢字を正字から誤字に訂正や改名はできない
戸籍に登録されている名前の漢字を正字から誤字に訂正したい、正字を変更して誤字に改名したい、という方もいると思います。
ですが、俗字や誤字の漢字を正字に訂正することはできても、正字を誤字に変更して改名することは基本的に不可能です。
戸籍の電子データ化による役所の事情や登録手続きのミスで戸籍の漢字が誤字から正字に訂正された場合を除き、過去に届出をして誤字や俗字から正字に訂正した場合は俗字に変更することはできません。
「もともと誤字の漢字を使用していて婚姻届けを出す際に正字に名前を変更した」
「役所から連絡があって戸籍の漢字を誤字から正字へ訂正することを許可した」
といった場合が該当します。
誤字だけでなく俗字への改名も難しいです。
改名や改姓の手続きができないわけではないですが、下記の判例を見ても正字から誤字や俗字への変更が許可されるのはかなり厳しいのがわかると思います。
そもそも誤字は人名に使える漢字ではないため、人名用漢字以外への改名は許可されない傾向です。
これは誤字による訂正や変更だけでなく、「異性と紛らわしい・同姓同名」など一般的な理由での改名も難読な漢字への変更は許可されません。
唯一、改名(改姓)の許可の可能性があるとするなら永年使用による改名ですが、理由が理由なだけになかなかハードルが高いです。
漢字の訂正・変更の家庭裁判所での判例
正字から俗字への変更「桑山」→「桒山」
婚姻で新戸籍を編成する際に先祖代々使用してきた「桒山」を軽率に当用漢字である「桑山」に訂正し届出をした。隣に住んでいる婚姻した弟の戸籍は「桒山」となっており兄弟で表札が違うのは不自然である
→申立人の「桒」の字は俗字誤字であり、「桑」の俗字誤字は戸籍上数種あるため一般人にとって判読が困難である
改姓も戸籍法50条(常用平易な文字)の趣旨を尊重するのが相当である
当用漢字から俗字誤字に変更することは原則としてやむを得ない事由にあたるとはいえす、例外を認めるべき事情には当たらない
昭和57年7月27日/熊本家庭裁判所人吉支部/審判/昭和57年(家)105号
正字から俗字への変更「高山」→「髙山」
先祖の戸籍は「髙山」であり、小学校入学から現在まで永年使用してきた
→申立人らの先祖は「髙山」姓であつたことは明らかであるが、その後申立人の父の代になってから、戸籍上一貫して正字「高山」姓に表示されており、現在まで長期にわたり公示された経緯がある
「髙」なる文字は誤字・俗字に該当し、「高」が正字であることは顕著な事実である
もともと戸籍上誤字ないし俗字を用いて氏の記載がなされていたところ、過去のある時点で正字「高」に改められており、これが移記の際の誤記によるものと認めることは困難である
誤字・俗字の氏に変更する利益は、申立人らの主観的利益にとどまり、実益にも乏しいものといわざるを得えず「やむを得ない事由」とは認められない
富山家庭裁判所 昭和62年(家)947号 審判
コンピュータ化に伴う戸籍改製と名前の誤字の訂正
戸籍のコンピュータ化に伴う戸籍改製に際し、市町村長が氏名の誤字を正字に改める場合、事前に本人に対し書面により告知する手続を省略し、表記の訂正を欲しない旨の本人の申出を無視して訂正するなど、本人にそのままの表記で公証される機会を与えたといえないときには、戸籍法118条にいう違法な戸籍の記載がされたものとして、もとの表記への戸籍訂正を許可することができる
鹿児島家裁知覧支部平成19年(家)第175号
戸籍の漢字の誤字や俗字を訂正する手続きのまとめ
戸籍の名前が役所の間違いによる誤字の場合は、家庭裁判所で手続きしなくても、役所で簡単に漢字の訂正の手続きができます。
家庭裁判所で手続きをするとなると少し大変ですが、役所での訂正の手続きは書類を提出するだけなのでかなり簡単で即日で完了します。
現在の戸籍の名前が俗字や誤字で登録されていて漢字を正字に変更したい、という場合も役所での訂正や変更の手続きで済みます。
ただし、戸籍の漢字を正字ではなく俗字や誤字に変更・訂正したい、誤字の原因が役所に責任がない場合は、家庭裁判所で訂正や改名の手続きが必要です。
誤字が理由で戸籍の漢字を変更したい場合は訂正の手続きですが、状況によって改名や改姓の手続きをしたほうがいい場合もあるので、家庭裁判所の窓口(家事事件係)や電話で相談しましょう。