改名が認められた実例と判断基準を徹底考察

改名が認められた具体例!20の実例と判断基準

改名許可された具体例

日本ではどんな理由なら改名が認められたのか、実例って気になる情報ですよね。

 

改名に関する過去の判例がいくつかあるので、改名が認められる具体例として許可・不許可になった過去の判例をもとに、改名が認められる判断基準(傾向)も紹介しています。

 

改名が許可された実例として、東京・埼玉の理系弁護士を参考に全20の判例を簡潔にまとめました。

 

ここでは難読・永年使用・同姓同名など、幅広く改名理由別にご紹介!

 

子供の改名の判例は「10選!子供(赤ちゃん)の改名成功例と特徴」を参考にしてください。

永年使用で許可・不許可された実例と判断基準

永年使用の許可された判例

永年使用の判例ですが、他の理由(姓名判断)も含まれています。

1.名古屋高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 小学生在学当時から就職(高卒)に至るまで、通称名を約7年間使用していた

  • 裁判所の判断
  • 通称の使用が自他ともに便宜である

2.札幌高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 姓名判断により、通称名の使用を始めた
    12歳ころから大学を卒業して就職した後まで約16年間使用した

  • 裁判所の判断
  • 通称名は広く社会一般に認識されている

3.仙台高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 姓名判断により、通称名の使用を始めた
    約20年間、通称名で公私の生活を営んだ

  • 裁判所の判断
  • 通称名でその地位を築き上げた
    本名では通用しない

4.長崎家裁佐世保支

  • 申し立て理由・経緯
  • 通称名として約20年にわたり使用していた

  • 裁判所の判断
  • 希望名は難読だが、通称の永年使用を優先した

 

永年使用の不許可の判例

5.仙台高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 名前を「修二」から通称名の「脩二」に変更
    小学生4・5年の頃から姓名判断により通称名を使用し始めた
    通称名の使用期間は約30年あり、多くの論文や著書で使用している

  • 裁判所の判断
  • 通称名は社会生活上の利便があるが、通称名への変更は戸籍法の趣旨に反する
    (常用平易な文字に制限する)

6.広島家裁竹原支部

  • 申し立て理由・経緯
  • 名前を「光正」から通称名の「職愈」に変更
    通称名「職愈」を約30年間使用していた

  • 裁判所の判断
  • 通称名の読みができる者は皆無
    戸籍法50条1項の趣旨にも反する

 

判断基準と傾向

永年使用は、社会的な名前(通称名)の定着度が重要。

 

基本的に、通称名の長期的な使用期間があれば認められています。

 

改名理由の中で、永年使用は許可されるケースがダントツで多く、最低でも7年から10年間の通称名の使用期間があれば許可される傾向が強いです。

 

名前を変更する動機や目的がたとえ姓名判断でも、通称名の使用期間が重視されるため、あまり考慮される印象。

 

ですが、姓名判断による改名や通称名の難読性が高いと、通称名の使用期間がどれほど長くても不許可になる可能性もあります。

 

>自力改名の定番!永年使用のデメリットとは?

 

珍奇・難読の判例と判断基準

珍奇・難読の許可された判例

7.大阪高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 「州璋(くにあき)」という名前は難読で誤解が多発する

  • 裁判所の判断
  • 難読・誤称・誤配のおそれがある

8.那覇家裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 父は「精子」の名を希望していなかったが、母が独断で出生届けに記載した

  • 裁判所の判断
  • 客観的には不便はあまりないが、命名の経緯の不備が考慮された

 

珍奇・難読の不許可の判例

9.東京家裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 「武平(ぶへい)」という名への嫌悪

  • 裁判所の判断
  • 嫌悪感は一般的な感覚ではない
    主観的(個人的)な感情である

10.高松高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 「馬茂(うましげ)」という名は周囲から「うましか(馬鹿)」と呼ばれることがあった
    誤解・いたずらの両方があり、幼少の頃から戸籍名を好んでいなかった

  • 裁判所の判断
  • 戸籍名は珍奇・難解・低俗のいずれでもない
    職業・社会的地位・環境などとの関連において、社会的信用が損なわれることはない

11.東京高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 寅年に生まれ「トラ」と命名された
    幼少の頃から女性には不適当な名であると嫌っていた
    通称として「久子」を約25年間使用していた

  • 裁判所の判断
  • 「トラ」は女性においても珍奇ではない
    生活上著しい困難を来すことはない

12.大阪高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 女性に「コトラ」という名はふさわしくない
    「コトラ」から「和孝(かずこ)」に変更したい

  • 裁判所の判断
  • 戸籍名は「小虎」に通じ、女性の名としてふさわしくない
    希望名「和孝」は姓名判断によるものである
    「和孝」という文字は男性の名と間違えやすい

 

判断基準と傾向)

難読や珍奇(キラキラネーム)の改名は、社会的地位を脅かすような明らかな不都合があったり、本来なら出生届けが拒否されるような悪名であれば許可されます。

 

純粋に個人の主観や感情だけでは許可されません。

 

また、改名を希望する名前(通称名)が難読・難解であれば不許可の傾向です。

 

>キラキラネームの改名を成功させるコツを実例とともに解説

 

同姓同名の判例と判断基準

同姓同名の許可された判例

13.東京高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 近隣に同姓同名(幸枝)の者Aが居住していた
    Aは約1か月違いで出生し同じ幼稚園に入園している
    役場から来る書類もまぎらわしい

  • 裁判所の判断
  • 今後、小学校へ入学する上で不都合が予想される
    幼少であるため、名の上で築かれた社会生活は複雑ではない

14.広島高裁岡山支部

  • 申し立て理由・経緯
  • 妻と姑の名の読み方が同じ「としこ」であった
    (俊子・年子)

  • ・裁判所の判断
  • 日常生活において多大の支障を生じている

 

同姓同名の不許可の判例

15.東京高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 近隣に同姓同名の者がおり、電報や郵便物の誤配がある

  • 裁判所の判断
  • 誤配は転居後間もない一時的な事故であった
    姓名判断の類から変更を希望していることがうかがえた

16.東京高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 夫婦の名の読み方が同一であり、夫が名の変更を申し立てた
    (朝生・朝夫)

  • 裁判所の判断
  • 夫は広範囲の社会生活を営み社会に対して障害を与えるが改名による利益は不利益より小さい
    (利益:親類の者が夫婦の一方の名を呼ぶ時に困惑しない)
    妻は専業主婦のため、改名をしなくても社会生活で大きな支障はない

 

基準と傾向

同姓同名による改名は、関係が近い親族の場合は名前による不都合が強くなるため、認められる傾向です。

 

名前が類似している場合も認められる可能性があります。

 

その他(2回目・前科など)

その他(2回目・前科など)の許可された判例

17.大阪高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 一度、改名しており、その後、通称を23年間使った

  • 裁判所の判断
  • 変更を許可した

18.広島高裁岡山支部

  • 申し立て理由・経緯
  • 一度、僧名に改名したが、その後所属寺院が変わった
    再び、名の変更を申し立てた

  • 裁判所の判断
  • 住職としての社会活動を円滑に営むために必要である
    前回の改名から20数年近く経過し、従前の交流が途絶えている
    再度、改名しても混乱を生じさせる確率は低い

その他(2回目・前科など)不許可の判例

19.大阪高裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 有罪判決が確定し、犯罪者として縁戚者に不名誉を及ぼすことを回避するために名の変更をしたい

  • ・裁判所の判断
  • 正当事由がない
    (前科を隠すというマイナス評価を受けた)

20.東京家裁

  • 申し立て理由・経緯
  • 名の変更許可の申し立てをしたが、却下された
    再び、名の変更許可の申し立てをした
    なお、申し立て理由の変更はない

  • 裁判所の判断
  • 申し立て自体が濫用であり失当である

 

判断基準と向

前科の清算として改名を希望するケースは、更生に繋がる一方で周囲の誤解を招くことになるとの見解から、家庭裁判所の判断は消極的です。

 

2回目の改名は、名前を何度も変えることで、本人に対する社会の同一性を欠き、社会的混乱を招くことから却下される傾向です。

 

一度目却下された申し立て理由と2回目の申し立て理由(事情)が同じ場合は認められない可能性が高いです。

 

通常の改名よりも2回目の改名や2回目の申し立て(過去に却下されている)は、正当な事由(合理性)が強く要求されるため難しくなります。

 

また、再度、名前を変えることによる社会的な混乱や実害がないことも判断基準です。

 

>改名の却下対策!家庭裁判所を変更すれば受理される!?

 

共通する改名の許可基準

どんな改名理由でも、改名が必要だと判断される許可基準は主に2つあります。

 

明らかな不都合・支障があること

戸籍名による明白な支障があると判断されれば許可されます。

 

しかし、それは各家庭裁判所の裁量によるので予測するのも難しいです。

 

ですが、「名前が好きになれず精神的苦痛を受けている」という個人の主観では認められないのは明白。

 

個人的な感情を訴えることだけは絶対に避けてください。

 

あくまでも今の名前(戸籍名)による不都合や支障が重要なので、名前に起因する不利益を訴えましょう。

 

通称名の使用期間(社会的混乱の有無)

永年使用以外は、過去の判例から通称名の使用期間やどんな使用実績を提出したのか、詳細が不明なため判断できません。

 

ただ、通称名の使用実績がないと申し立てが受理されない現状があり、通称名の定着度合いも改名審議の判断材料となるのも事実。

 

通称名の使用実績は、新たな名前が社会的に根付いている証拠となり、どんな改名理由にも適応する証拠となります。

 

使用実績がなければ、改名することで周囲が混乱すると判断されてしまい、不許可になることがあります。

 

あなたの改名理由が何であれ、通称名の使用実績作りは、改名を申し立てるのに必要な最低ラインと言えます。

 

よりスムーズに許可されるためには、一定の使用期間も重要でしょう。

 

>誰でもできる!改名期間をギュッと短縮する3つのポイント

 

判断基準がバラバラなので厄介

人によって改名したい理由はさまざまあり、過去の判例からも複雑な事情が垣間見えます。

 

全20の判例を紹介しましたが、正直、どの改名理由も正当な事由として認められそうに感じませんか?

 

でも、判例を見て一目瞭然、見事に家庭裁判所によって判断がバラバラですよね。

 

判断基準について、結局たどり着く答えがこれです。(^_^;)
「家庭裁判所によって判断基準が異なる」ということが再確認できたという感じですね。

 

家庭裁判所は個別で判断するので、過去の判例に当てはまっても必ず許可されわけではないため、実は判例ってあまり参考にならない気も・・。

 

極端な話、過去に認められた理由とあなたの状況(改名理由)が同じであっても、地域(管轄の家庭裁判所)や担当した裁判官によって判断が違うということですから。

 

ただ、実際にあった申し立ての判例を見ると、「日常生活で明白な弊害がある」+「10年以上の十分な通称名の使用期間がある」と改名が認められやすいのがわかります。

 

この基準を満たしやすい永年使用は改名しやすいと言えますね。

 

ただ、不許可の判例を見ると「通称名の使用期間や使用実績がどうなっていたのか」が気になるところ。

 

通称名の使用期間が短くても認められた判例だってあるはずですから。

 

通称名の使用期間が不明な判例が多いので何とも言えないのですが、十分な通称名の使用期間は重要なポイントになってくると思います。

 

※使用実績は重要ですが必ずしも有利になるわけではありません。
>必須じゃない!?改名に使用実績作りは本当に必要なのか?

 

さいごに

家庭裁判所は過去の判例に基づき改名審議を行い、許可するか否かを判断します。

 

でも実際は担当の審議官(裁判官)の裁量が大きく影響するため、改名の条件「正当な事由」はあっても、その判断基準はあって無いようなものです。

 

あなたの改名理由が何にせよ、証拠集めはかなり重要なのでとにかく早い時期から準備しましょう。

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